2016/11/19
東京海洋大が水素と酸素を反応させて発電し、モーターを動かす「燃料電池船」を開発し、10月に初めて東京湾をテスト航行した、と毎日新聞(11/19)が報じた。同紙によれば、国土交通省は2017年度末までに燃料電池船の安全基準を新たに設ける方針。10月20日、東京海洋大の大学院生が操縦する燃料電池船「らいちょうN」が、大学に面した隅田川を航行した。全長12.6メートルの小型船で、時速13~15キロで東京湾へ下っていく。船尾に搭載したボンベ2本に水素が入っている。空気中の酸素と化学反応させて生じる電気と、あらかじめ充電しておいたリチウムイオン電池の電力を合わせてモーターを動かし、スクリューを回す。
最高時速は約20キロ。13キロだと連続して約6時間航行できる。重油エンジンよりも静かで、排出するのは水だけ。排ガスのにおいはない。川や湾内に限った客船としては、技術面はほぼクリアしているという。普及に向けた課題はある。東京海洋大によると、建造費用は重油船と比べて2~3倍。水素を供給する「水素ステーション」やリチウムイオン電池の充電設備も必要だ。さらに船に積み込む発電装置の小型化が求められる。2020年には、東京の「舟運」での実用化にこぎ着けたい考えだ。